老舗中小企業のECサイトの人のブログ

東京合羽橋にある老舗企業のECサイト担当です。ECサイト運営経験はありませんが、日々の学びを書きたいと思います。

創業100年の合羽橋の料理道具店がECサイトで表現したいこと

現在、ECサイトオープンのため、決済まわりの確認やら配送の確認やら最終準備を行っています。今回は決意表明的に、創業100年の料理道具店がECサイトでやりたいとおもっていることを書きたいなと思います。

 

これまでのECサイト

楽天AmazonなどこれまでのECサイトって「安くて品揃えが豊富!」というのがウリだったと思います。ユーザーは既に欲しい商品が決まっていて、ECサイトを訪れるのは欲しい商品が安い価格で買うことができるからというのがほとんどだと思います。

 

例えば、冷蔵庫が欲しいんだけど、どのくらいの値段かなというのを調べて、口コミやレビューを見て満足したらインターネットで注文するというのがこれまでのECサイトだったように思います。最近ではティッシュや洗剤などの日用品までAmazonで買うようになってしまいました。そんな時も「ティッシュがきれたからAmazonで検索して安くて良さそうな物を注文しよう」というのが基本的な使い方になります。

 

そんなECサイトは「論理の世界のECサイト」だと思っています。楽天Amazonも徹底して商品数を増やし、検索の精度をあげて訪れるユーザーのニーズを満たしてきました。Amazonは最初は書籍のネットショップだったのに、今では日常生活で必要な物はほとんど全て揃うようになっています。「論理の世界のECサイト」が想定しているのは「買いたい物がある程度明確なお客さん」です。

 

僕が関わったわけではないのですが、うちの料理道具店も少し前に、Amazonに出品していたことがあるようです。但し、Amazonでは手数料がかなり高く、料理道具だと15%も取られてしまう上に、「論理の世界のECサイト」のユーザーであるため、価格に厳しく他社もたくさん出品してくるために価格競争にさらされてしまいます。何とか価格競争に勝ち抜いて販売したとしても、利益は数十円から数百円しか残らなかったようです。

 

さらに残念なことにお客さんはあくまで便利なAmazonで買っただけであり、僕らのお店を認知してくれるわけではありません。こんな経緯があったのでAmazonからは撤退してしまい、楽天も手数料の違いはあれど根本的な問題は同様で、独自のECサイトを立ち上げて運営するにはマンパワーが足りないということで手を付けずにそのままになってしまったようです。

 

リアル店舗が提供していること 

 Amazon楽天などECサイトを使えば、ほぼ全ての買い物が完結するにも関わらず、リアル店舗をわざわざ訪れる人はまだまだ大勢います。僕らの合羽橋のお店にも連日多くの人が訪れてくれます。

 

リアル店舗の大きな価値の一つが、「こんなのあったんだ!」とか「何これ、面白い!」といった「驚きや発見」を提供することなのかなと最近は感じています。お店ではキッチンのアイディアグッズを多数取り揃えていますが、笑いながら「何これ!」と買っていくお客さんも多いようです。また店頭にて料理道具の使い方や手入れの仕方などを丁寧に説明することでも納得して商品を買っていただけることがあるようです。

 

僕らはこういったリアル店舗での「驚き・発見」を提供できるような「感情の世界のECサイト」を目指したいと思って、いま準備をしています。特に動画を使って商品の魅力や面白さを伝えるサイト、ジャパネットたかたやテレビ通販サイトのようなノリで、毎日訪問したくなる、そのついでについつい買い物をしてしまうサイトを目指しています。

 

ECサイトのメディア化

これまでのECサイトのあり方に対して疑問を持ったECサイトがメディア化に取り組んでいるのが昨今の流れではないでしょうか。「北欧、暮らしの道具店」さんは非常に参考にしていただいていますし、キュレーションメディアの多くで試験的にショッピングカートを設置しているように思います。

 

これまではメディアとECサイトは明確に分かれていたように思います。メディアは商品の仕入れや在庫を持つことが難しく、ECサイトにはメディアの編集力がありませんでした。今後はECサイトがメディア化したり、メディアサイトがEC機能を担うことが増えてくるのではないかと感じています。

 

僕らはECサイトでもメディアでもなく、実店舗のお店で提供している物をWeb上に表現した結果、メディアでもあり、ECでもあるサイトに行き着きました。近日中のオープンを予定しているので、オープンの際はぜひ楽しんでもらえればと思います。Web上で興味を持っていただきリアル店舗に来ていただければさらにさらにうれしく思います。まとまりのない文章ですが、この辺で。また随時色々書きたいなと思います。